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イベントEVENT

2019年12月14日 東京都 / 情報提供者: 坊農真弓

盲ろう者コミュニティにおけるコミュニケーションアクセス

みなさま

この度,国立情報学研究所坊農研究室は「第一回国際ワークショップ:盲ろう者コミュニティにおけるコミュニケーションアクセス〜スウェーデン,オーストラリア,日本からの報告」を開催することとなりました.

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第一回国際ワークショップ:
盲ろう者コミュニティにおけるコミュニケーションアクセス
〜スウェーデン,オーストラリア,日本からの報告〜

日程:2019年12月14日(土)
開場:12:30
講演:13:00-17:00
言語:講演者はそれぞれの日常言語を用います.各講演に複数の通訳を準備しています(詳細は以下).
場所:国立情報学研究所12階会議室1208/1210室(〒101-8430 東京都千代田区一ツ橋2-1-2)
参加費:無料
事前参加申し込み:要(お座席に限りがありますので,事前参加申し込みをお願いします.末尾参照)
URL: http://research.nii.ac.jp/~bono/ja/event/20191214.html
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プログラム:
13:00-13:10 開会のことば (坊農真弓,国立情報学研究所・総合研究大学院大学)
13:10-14:10 講演(60分) (福島智,東京大学)
14:10-14:40 講演(30分) (森敦史,筑波技術大学)
14:40-14:50 休憩
14:50-15:50 講演(60分) (ヨハナ・メッチ,ストックホルム大学)
15:50-16:50 講演(60分) (ヘザー・ローソン&メレディス・バートレット,モナシュ大学)
16:50-17:00 閉会のことば(坊農真弓)

講演(1) 福島智(東京大学)
言語:音声日本語(日本手話通訳,国際手話通訳が入ります)
演題:盲ろう者にとっての豊饒化したコミュニケーション〜指点字通訳をどのように育てていったのか?〜
要旨:福島智は9歳で失明し,18歳で聴力を失った盲ろう者である.コミュニケーションには福島の母によって考案され,福島自身と周囲の人々によって鍛錬された指点字を用いる.指点字とは聞き手の指を指点字タイプライターのキーに見立てて指点字入力を打点するものである.指点字で入力された相手の発話に対し,福島は音声で応答する.1981年3月初旬,福島の母が指点字を考案して以来,福島の周囲の人々は指点字を「I君は22日にお家に帰るんですって」といったように間接話法で打っていた.その後,福島が友人らと三人で喫茶店にいるとき,福島の手に触れていたM(三浦さん)が「M: I君はいつおうちに帰るの?I: うーんとね,22日に帰ろうと思うんだけどね」と「会話風」に指点字を打った.これが指点字通訳の始まりである.この間接話法から直接話法への変更は,福島にとって衝撃を伴うほど大きなものであった.本講演では指点字および指点字通訳がどのように始まったのかを紹介し,盲ろう者にとっての豊饒化したコミュニケーションとは何かを議論する契機としたい.

略歴:
福島智は日本のバリアフリー研究者である.東京大学教授(博士(学術), 東京大学).専門は,バリアフリー教育,障害学,障害者福祉,アクセシビリティ.現在は社会福祉法人全国盲ろう者協会理事,世界盲ろう者連盟アジア地域代表等を務める.世界で初めて常勤の大学教員となった盲ろう者である.

講演(2) 森敦史(筑波技術大学)
言語:日本手話(日本語通訳,国際手話通訳が入ります)
演題:触手話を中心とした支援体制の構築による効果
要旨:筑波技術大学は日本で唯一の聴覚障害者と視覚障害者のための大学であるが,盲ろう学生の受け入れ実績が非常に少ない.そのため大学院入学に当たって,入学先として聴覚障害者のキャンパス(天久保キャンパス)と視覚障害者のキャンパス(春日キャンパス)の選択を迫られることとなった.聴覚障害者キャンパスにはろう学生向けの情報保障が充実しているといったメリットがあるが,一方で視覚障害者キャンパスには盲学生向けの支援体制と設備が充実しているというメリットがある.両キャンパスのメリットを踏まえて検討した結果,学生や教職員とのコミュニケーションを考慮し,聴覚障害者向けのキャンパスへの入学を選択した.先天性盲ろう学生の前例がない中で,自身の入学をきっかけに盲ろう学生の支援体制が構築されることとなったが,入学後どのように展開し,自身や周囲の人たちに影響を及ぼしたのであろうか.本講演では,様々な情報保障と支援を利用する大学院生という立場で,聴覚障害者キャンパスを選択した理由,同キャンパスでの経験を通しての手話による支援体制や環境整備の重要性とその効果,情報保障における課題(今後の希望)等をお話しする.合わせて,利用者と大学側との打ち合わせを繰り返す中で構築した盲ろう学生の支援体制について紹介する.

略歴:
森敦史は先天性盲ろう者として生まれる.3歳から難聴幼児通園施設に通所し,日常的な経験をする中で手話や指文字を学ぶ.卒園後もろう学校と盲学校に進み,手話(ろう学校)と点字や指文字(盲学校)を中心に,日本語を学習する.盲学校卒業後,先天性盲ろう者として日本で初めて一般大学(ルーテル学院大学)に入学し,現在は筑波技術大学大学院の情報アクセシビリティ専攻に在学中.大学在学時に卒業論文「先天性盲ろう児におけるファンタジー理解の困難と理解にいたるプロセス(支援者側の援助に焦点をあてて)」を執筆.(当日希望者に概要版を配布予定)

講演(3) ヨハナ・メッチ(ストックホルム大学)
言語:国際手話(日本手話通訳,日本語通訳が入ります)(講演スライドは英語)
演題:触手話のコミュニケーションと通訳の研究
要旨:盲ろう者は,それぞれがさまざまなタイプの聴覚障害や視覚障害をもった混成的なコミュニティを形成している.盲ろう者の中には,日常生活において触手話および触手話通訳を利用している人々がいる.彼らには視覚障害があるため,通訳者の仕事には,他のろう者あるいは聴者が表現した内容を通訳することだけでなく,環境についてのパラ言語的な情報を伝えることも含まれる.盲ろう者は,同じく盲ろう者である対話者とは,ずっと楽にコミュニケーションできるようである.それは一体どういうことなのだろうか.さまざま盲ろう者,ろう者および聴者と,十分なアイコンタクトなしで適切に「話す」ためには,どのようなコミュニケーション能力が必要なのだろうか.例えば,ノルウェーとスウェーデンのろうベース盲ろう者の間での言語横断的な相互行為の実証的データを使って,我々は,質問と反応を表現する間主観的なストラテジーを調べている.その知見は,質問と応答の形式と機能については先行研究の結果を支持しているが,同時にそれは,明らかではっきりしたトピックの指標,繰り返しの使用,さらには理解を交渉する過程における複様式的/複感覚的な資源についての説明をも与えてくれるものである.

略歴:
ヨハナ・メッチはスウェーデンのストックホルム大学言語学部手話部門において手話を専門とする教授である.1998年に手話言語学の博士号を取得している.博士論文では四手手話もしくは触手話と呼ばれるコミュニケーションにおいて順番交替がいかに行われているかを明らかにしている.主な発見として,盲ろう者は円滑な相互行為において,「話す」順番を素早く変更するために,発信側の手と受信側の手のパターンを交替させていることを明らかにした.本研究は盲ろう者の相互行為に新しい知見を与え,盲ろう者のコミュニケーション研究に「言語的順番」を明確に導くことになった.その後20年間に渡り,スウェーデン手話(学習者コーパス,触手話コーパス含む)の手話言語学,コーパス構築に焦点を当てている.

講演(4) ヘザー・ローソン&メレディス・バートレット(モナシュ大学)
言語:オーストラリア触手話・音声英語(英語通訳,日本語通訳,日本手話通訳が入ります)(講演スライドは英語)
演題:オーストラリア触手話:経験と提案,分析と適用
要旨:本講演では,盲ろう当事者,盲ろう者コミュニケーションの研究者という二つの視点から,盲ろう者がどのようにオーストラリア触手話を使ってコミュニケーションを行なっているかについて紹介する.最初に, オーストラリアにおいて,これまで30年にわたって触手話というコミュニケーション方法を用いてきたヘザー・ローソンが,盲ろう者として生きてきた人生について話し,視覚資源を利用した手話から,触覚や感覚を利用した触手話へとどのように移行していったかを述べる.手話から触手話に移行する際,問題となるいくつかの点,例えば,指文字,数字,顔の表情や頭部の動き等を理解することの難しさを指摘し,対話者から様々な感情表現を得るために最近試行している方法に焦点を当てる.さらに,見えにくく聴こえない状態の弱視ろう者,また,見えにくく聴こえにくい状態の弱視難聴者が,効果的にコミュニケーションを行えるよう行なってきた支援活動についても紹介する.
次に,当事者の視点を補足すべく,メレディス・バートレットはモナシュ大学で行なっているオーストラリア触手話研究の成果を紹介する.盲ろう者のコミュニケーションや情報入手を助けるため,モナシュ大学のプロジェクトチームは,発話の理解を難しくしている要素,そして,誤解や理解を困難にしていると考えられる原因を乗り越えるため盲ろう者が即時的に使用する様々な方法を分析している.その結果,手の位置や数字の確認の仕方など,オーストラリア触手話が様式化していること,そして,その方法が盲ろう者の間で普及し定着してきていることが分かってきた.しかしながら,質問形式,容姿や動作を描写する間接話法の方法については,盲ろう者によってかなりの違いがあることも分かっている.本研究が,盲ろう者とコミュニケーションを行う身近な対話者,触手話通訳者,介助者を助けるものとなることを期待する.

略歴:
ヘザー・ローソンは,ろうとして生まれ,徐々に視覚を失って28歳の時に失明して盲ろう者となった.35年以上盲ろう者として生き,32年以上オーストラリア触手話を用いてコミュニケーションを行なっている.現在は自立して生活しているが,毎日コミュニケーションガイド(介助者)と通訳者のサポートを受けている.コミュニケーションガイド(介助者)と通訳者に自分のコミュニケーションストラテジーを教え,コミュニケーションにおいて最も重要なことは「信頼」であると述べている.プロジェクト開始時点から,モナシュ大学の研究チームのコンサルタントとしてリサーチに協力している.
メレディス・バートレット博士は,最も高いレベルの通訳者として国が認定したオーストラリア触手話通訳者であり,触手話通訳者養成に尽力を注ぐ教育者でもある.1982年以来,フリーランスとして,また,The Victorian Deaf Society (Vicdeaf) [ビクトリア州ろう協会]の通訳者として活躍している.バートレット博士は,オーストラリアにおいて盲ろう者の触手話研究を始めた第一人者であり,研究成果を応用した盲ろう者コミュニエティーを支援するためのリソースの開発,通訳介助の養成に邁進している.
マリー・ハンターは,2007年からヘザー・ローソンのコミュニケーションガイドとして,また2009年からは国家認定された触手話通訳者として仕事をしている.ハンターは,10年以上ヘザー・ローソンと共に仕事をし,メルボルンにおいて盲ろう者が用いる触手話コミュニケーションスキルを最も蓄積した通訳者の一人である.

本講演会は以下の科学研究費助成事業の支援を受けています.
・基盤研究B「手話・触手話・指点字にみる日本語の影響とマルチモダリティ」(研究代表者:坊農真弓)

参加される方は以下のメールアドレスに参加申し込みを送ってください.
(件名を『盲ろう者のコミュニケーションワークショップ参加申し込み』としてください)
送付先:bono-sec (a) nii.ac.jp
       (a)を@に置き換えてください
締め切り:2019年12月11日(水)

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